自分を知る

無意識の防御パターンを知る

2017年12月6日

「防衛機制」という言葉をご存知でしょうか?高校の保健体育の教科書に書いてあるそうですので、ご存知の方も多いかもしれません。

防衛機制は、「あれ、俺/私、今まずいんじゃない?」という状況におちいったとき、無意識にとる心理的な防御方法です。Wikipediaでは、次のように定義されています。

防衛機制(ぼうえいきせい、英: defence mechanism)とは、受け入れがたい状況、または潜在的な危険な状況に晒された時に、それによる不安を軽減しようとする無意識的な心理的メカニズムである。欲求不満などによって社会に適応が出来ない状態に陥った時に行われる自我の再適応メカニズムを指す。広義においては、自我と超自我が本能的衝動をコントロールする全ての操作を指す。

うまくいかないことを人のせいにしてしまう「投影」、ストレスを衝動的な行動で緩和する「行動化」など、ひとは、さまざまなパターンの防衛機制を用います。

今回は、質問に答えていくだけで「あなたが使いやすい防衛機制のパターン」がわかる質問紙をご紹介します。おそらく、「そんなもの!!」と思われる方もいらっしゃるかと思います。僕も、質問紙を信用していない方ですので、最初は少しバカにしていたのですが、やってみると結果は、中々面白いものでした。

「あるある!」と笑ってしまう防衛機制パターンもありましたし、にわかには受け入れがたいものもありました。しかし、しばらくしてから滝に入っていたときのことでした。その受け入れがたかった防衛機制パターンが、自分の非常に個人的な経験の背後に働いていたことに気づきました。

現実の生活の中で自分の感情の動きが理解できないとき、状況と自分が使いやすい防衛機制のパターンを照らし合わせて考えることで、気づきが起こることがあるかもしれません。以下でお試しいただける質問紙を、ご自身の心をより深く知るために、役立てていただければ幸いです。

質問紙について

以下でお試しいただけるのは、慶応大学の中西博士によって日本語翻訳された「Defense Style Questionnaire 日本語版(DSQ42)」です(中西, 1998)。DSQ42の概要を、原著から抜粋します。

防衛機制を特定する際の、評定者間信頼性という問題を克服するためにBond, Gardner, Christian & Sigal (1983) は、Defense Style Queslionnaire (DSQ) という質問紙を発表した。これは、外からの刺激への対応の自己評価によって、無意識に機能する防衛機制を探るものである。防衛機制を直接測定するわけではなく、主な防衛スタイルを概観する事から防衛機制を探る。[中略] この質問紙では人々が自分達の行動を客観的に報告出来るという仮説のもとに、葛藤状況に(意識的にせよ無意識的にせよ)対処するための自分の特徴的なスタイルを引き出すように設計されている。(中西, 慶應義塾大学大学院社会学研究科紀要, 1998より抜粋)

質問紙

全部で42問の質問紙です。それぞれの記述について、あなたがあてはまる程度を判断し、1−9のいずれかのボタンをクリックしてください。 まったく当てはまらない場合は1、完全に当てはまる場合は9というように、数の大きさは記述がどの程度あなたに当てはまるかを意味しています

私は女性である。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
上の例では、あなたが女性なら9を選ぶでしょうから、9をクリックすることになります。男性ならば1をクリックすることになります。42の質問事項がありますので、各々の記述があなたに当てはまる程度を判断してください。

※質問紙の回答結果を解析するためにJavaScriptを用います。動作がおかしい場合には、JavaScriptが有効になっているか、確認してください。また、スマホでご覧の方は、画面を横向きにしていただくと、質問表の幅が画面に収まるるはずです。

1 = 「私に全然当てはまらない」 / 9 = 「私にまったく当てはまる」

1 私は他人を助けることで満足を得る。もし助ける機会を取り上げられたら、気分が沈むだろう。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
2 問題を処理する時間ができる時まで、その問題を考えないようにしておける。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
3 不安を抑えるために何か建設的かつ創造的なことをする(例えば描画や工作)。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
4 やる事には何でも、正当な理由を見つけることができる。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
5 時々今日すべき事を明日まで引き伸ばす。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
6 自分の失敗を笑いに変えることが容易にできる。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
7 人に利用されることが多い。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
8 もし誰かが私を襲ってお金を盗んだとしても、罰せられるより犯人がそのお金で助かることを望む。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
9 不愉快な事実を、それがまるで存在しないかのように無視する傾向がある、と人から言われる。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
10 自分がまるで不死身であるかのように危険を無視する。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
11 うぬぼれている人の鼻をへし折る能力は私の誇りだ。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
12 何かに悩まされている時には、しばしば衝動的に行動する。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
13 物事がうまくいかない時には体の具合が悪くなる。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
14 とても内気な人間だ。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
15 私がいつでも本当の事を言うとは限らない。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
16 実生活でよりも空想で満足を得る事が多い。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
17 問題なく人生をやり過ごせるような特別な才能をもっている。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
18 物事がうまくいかない時にはもっともな理由がある。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
19 現実の生活においてよりも空想において物事をやり遂げる。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
20 私は何も恐れない。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
21 ある時には自分が天使であると思い、ある時には悪魔であると思う。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
22 傷つけられると、あからさまに攻撃的になる。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
23 知っている誰かが自分の守り神のようだといつも感じている。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
24 私の知っているかぎりでは、人は善か悪かのいずれかである。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
25 もし上司が私をいらいらさせたら、仕事でわざとミスしたり、ゆっくりやったりして仕返しする。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
26 何でもすることができて、絶対的に公平かつ公正である人が知人にいる。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
27 自分の活動の妨げになるような感情を私は抑え続けることができる。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
28 苦しい状況でも、そのおもしろい側面を見つけることができる。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
29 好きでないことをしなければならない時には頭が痛くなる。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
30 当然怒りを感じるべき人に対して、自分がとても親切であることにしばしば気がつく。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
31 人生において自分が不当な扱いを受けていると確信している。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
32 困難な状況に出会うことが分かった時には、その内容を予測し対策を立てる。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
33 医者は私のどこが悪いのか、けっして本当にはわからない。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
34 自分の権利のために戦った後で、その主張について謝る傾向がある。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
35 落ち込んでいたり不安な時には、食べることで気分が良くなる。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
36 しばしば自分の感情を見せないと人から言われる。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
37 悲しい出来事が事前に予測できたなら、それにもっとうまく対応することができる。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
38 たとえどれだけ不平を言っても、けっして満足のいくような回答を得られない。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
39 激しい感情を引き起こすような状況においても、何も感じないことがしばしばある。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
40 手近な仕事に集中することで、気分が沈んだり不安になったりすることを避けられる。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
41 もし危機にあったら、同じ問題を抱えている人を捜し出すだろう。 1 2 3 4 5 6 7 8 9
42 もし攻撃的な考えをもったら、それを打ち消すために何かをする必要性を感じる。 1 2 3 4 5 6 7 8 9

分析結果

結果を読むまえに

この質問紙の結果は、「社会的な望ましさ(Social Desirability. 回答者が、自らが信じているものにしたがうのではなく、社会的に受け入れられやすいものにしたがって回答する傾向)」の影響を受ける可能性があります。下のボタンをクリックして、自分の分類の詳細に留意した上で結果を解釈してください。


  • A: 率直に回答されています。以下の結果は、あなたの心理傾向をかなり客観的に示していると思われます。
  • B: あなたの回答には「社会的望ましさ」の影響がやや認められました。以下の結果は、あなた本来のものより少し一般的な傾向を示している可能性があります。
  • C: あなたの回答には「社会的望ましさ」の影響が強く認められました。以下の結果は、あなた本来のものよりかなり一般的な傾向を示している可能性があります。

結果の概要

結果の詳細


※上のボタンをクリックすると、あなたがそれぞれの防衛機制パターンをどれくらい用いやすいかのスコアが、下の表に表示されます。スコアは、相対的なものとお考えください。

I. 未熟な防衛

(1) 投影 うまくいっていない場合、それをとかく人のせいにしてしまう傾向
(2) 受動攻撃 不愉快な時に、ミスをしたりして周囲に迷惑をかける傾向
(3) 行動化 ストレスを受けると、衝動的に行動してしまう傾向
(4) 隔離 つらい時にそのつらい感情を受け入れない傾向
(5) 価値下げ 他人の能力を過小評価する傾向
(6) 自閉的空想 困難な状況では空想に逃避する傾向
(7) 否認 つらい事から目をそらす傾向
(8) 置き換え 不満対象の代わりのものに欲求や攻撃性を向ける傾向
(9) 解離 自分とは別の自分がいるような言動がある傾向
(10) 分裂 人や物事を良いか悪いかに分けてしまい、中間的な考えを持ちにくい傾向
(11) 合理化 物事を自分の都合の良いように考えてしまう傾向
(12) 身体化 苦ししい状況で身体の調子かが悪くなる傾向

II. 神経症的な防衛

(13) 打ち消し 考えたり行なったりした事にたいして、それとは反対の行動でバランスを取る傾向
(14) エセ愛他主義 自分を犠牲にして、人の喜びを求める傾向
(15) 理想化 他人を理想化する傾向
(16) 反動形成 自分の感情とは反対の行動を取る傾向

III. 成熟した防衛

(17) 昇華 ストレスを建設的な事で発散させる傾向
(18) ユーモア ユーモアを利用して苦しい気持ちをやわらげる傾向
(19) 予測 困難な状況をあらかじめ予測し、それに対応できるような準備をしておく傾向
(20) 抑制 適切な時になるまで、妨げになる考えを心の内に留めておく傾向

引用

  • 中西公一郎, (1998). The Defense Style Questionnaire 日本語版 (DSQ42): 日本での防衛機制研究のために. 慶應義塾大学大学院社会学研究科紀要47, 27-33.

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